コンコン。
「柚希、話がしたいんだ。
・・・入っていいか?」
扉の前で柚希からの返事を待つ。
「・・・いいよ」
かすれてか細い声で答える柚希の部屋の中へ入って行く。
「柚希・・・」
柚希は膝を抱えてうずくまっていた。
「・・・空くん・・・。
その様子だと母さんから聞いたんだね。
私の過去・・・」
顔を上げて俺を見る柚希の目は酷く真っ赤になっていた。
たぶんさっきまでずっと泣いてたんだろう。
「聞いた。
お前の事も、お前のお母さんの事も・・・」
「そう・・・。
ねぇ」
「ん?」
柚希の傍に行って腰を落とす。
「私の事、嫌いにならない・・・?
汚いって思わない・・・?」
「思わねぇよ。
てか、思うわけがねぇ」
「・・・ありがとう。
ありがとう・・・」
また膝を抱えて泣き出す柚希は、小百合さんの知らない、柚希だけが知ってる部分をゆっくりと話しだしてくれた。



