柚希の家についてチャイムを鳴らす。
出てきたのは柚希の妹?だろう女の子だった。
「あの・・・どちら様ですか?」
まだ小学生半ばぐらいで小さい。
でも目は大きくてくりくりしてて可愛いかった。
初めて見る顔だからなのか、女の子はおどおどしていた。
「えっと、柚希の友達なんだけど・・・柚希いる?」
「柚希ちゃんのお友達?
そっか。うん、今お母さんとお話ししてるよ!
入って入って!」
「お、おじゃまします・・・」
友達とわかったからか、女の子は明るく俺を家に招きいれてくれた。
二回目の柚希の家。
夏休みの時は柚希の部屋だけだったけど、今回はリビングだろう所へ案内される。
女の子がリビングにつながる扉を開けた時、柚希とお母さんらしき人の声が聞こえた。
「ねぇ、柚希。姉さんに会ってみない・・・?」
「いやっ!
何であの人に会わないといけないの!?
あんな思い出したくもない記憶思い出せって言うの!?」
「違うわ。姉さんももう落ち着いてるから、会って仲直りしたらいいと思って・・・。
姉さんだってきっと柚希に会いたいと思ってるはずよ。
だから柚希のケータイに電話してきたんでしょ?」
「母さんが教えなければかかってこなかった!
何で教えたの!?
母さんは私がされてきた悲しさも、苦しさも、痛みも知らないからそんな易々と言えるんだよ!
私は絶対に会わないから!!」
柚希が椅子から立ち上がり部屋から出ようとした時、扉の前にいた俺と女の子の存在に気付いた。
「何で空くんがここに・・・!?」
「よ、よお・・・」
何て返せばいいのかわからなかったから、一応片手をあげてあいさつした。
「柚希ちゃんのお友達だって言うから家に入れたの。
ダメ・・・だった?」
「なんでよりによって空くんなの・・・」
柚希は泣きそうな顔をして俺たちの間を通り、自分の部屋へと駆け込んでいった。
「柚希・・・?」
「あなた柚希のお友達なの?」
さっきまで柚希と話していたお母さんが俺の方に近づいてきて、困ったように小さく笑った。



