あれから綾音さんが救急車を呼び、俺はひたすら柚希の名前を呼んでいた。


哉斗が救急車を誘導し、病院に運ばれていく。


数分立って、柚希の家族がやって来た。


医者の言うことによると、柚希は精神的ストレスで倒れたらしい。


家族は涙を流していた。


どうすることもできない俺たちは重たい思いを抱えたまま病院を後にして、解散した。


そして次の日。


柚希は学校に来ていなかった。


柚希の友達に理由を聞くと、5日間入院することになったらしい。


放課後、部室に来ていたみんなにそのことを伝え、お見舞いに行くことになった。


病室に入ると、そこには明るく元気に迎えてくれるいつもの・・・いや、少し悲しそうな顔をした柚希がいた。


「どうしたの、みんな?
もしかしてお見舞い!?」


きゃーと喜ぶ柚希にみんな元気そうで安心したのか、さっきまで強張っていた顔がふにゃっと笑顔になった。


「元気そうだね」


「うん!」


哉斗の問いに明るく頷いて答える柚希。


けど俺にはその明るさがみんなを心配させないようにと、やせ我慢をしてる様に見えた。


少しみんなで話をして帰る時、また明日も来るからと言うと


「大丈夫だよ。
別に体に異常があるわけじゃないんだし、そんな心配しなくても。
それにみんな学校があって疲れてるでしょ?
無理して来なくてもいいんだよ?
あ、それよりちゃんと部活に出ててよね!」


冗談ぽく笑って言う柚希。


でもすごく寂しそうだった。


「・・・あの部活を作ったのはお前で、部長もお前だろ?
前にも言ったけど、お前がいないと盛り上がんねぇんだよ。
だから、早く良くなって退院しろ」


「そうですよ。部長の柚希ちゃんがいてこその青春部なんですから」


俺が言った後に真理奈も付け加えてか、ふんわりと笑って言った。


俺たちの言葉を聞いて泣きそうになったのか、柚希は下を向いて


「うん、ごめんね・・・。
ありがとう」


と小さく震える声で頷いていた。


それから俺たちは柚希が退院する残り4日、ちゃんと部活にも出て、時々お見舞いにも行きながら待っていた。