「は~、お腹いっぱい!」
「意外とふくれましたね」
哉斗が大量に買っていた食べ物は、みんなで食べるとあっという間だった。
「さて、そろそろ花火も始まる頃だし、場所移動するわよ!」
「えっ、どこに・・・?」
「花火がよく見えて、誰もいないとこ!」
『・・・・?』
みんな首をかしげつつ、先頭を歩いていく柚希の後を追って行った。
そしてやってきたところは、人けのない、静かな森の周りが見渡せる展望台みたいなところだった。
「どう!?いいとこでしょ!」
「確かに・・・」
これなら花火がよく見えるな。
「いつこんな所見つけたのかしら?」
「ふふふ、こっそり今日が来るまで一人でいい所探してたんだ。
じゃないと時間いくらあっても何もしてなかったらもったいないでしょ?」
「・・・・」
柚希にしてはごもっともな意見だな。
「さ、みんなすきなとこに腰下して」
俺たちは一列になるみたいにそれぞれ座った。
「後一分。
グッとタイミングね」
みんな楽しみのなのか、ワイワイと賑わっていた。
そして・・・。
「ドーン!!」
一発目の花火が打ちあがった。
「おぉ」
「きた~!」
「大きい・・・」
「キレイですね~」
「久しぶりに見るかも・・・」
「やっぱり夏と言えば花火だよな!」
「感動するわね」
まだ一発目だというのにみんなのテンションはすごく上がっていた。
一発目が打ちあがった後、すぐに次々と上がっていく。
やっぱ花火って年に一度は見ると夏って感じがするなー。
そういえば綾音さんは今3年生だから来年には卒業していないんだっけ。
てことはこのメンバーで見るのも最初で最後なのか・・・。
なんだか虚しくなって、俺はこの日の花火を忘れないようにしっかりと目に焼き付けた。
最初で最後の最高の夏休みだった・・・。