それから綾音さんとも別れて次の屋台へ向かう。
確か柚希たちは金魚すくいに向かってたよな。
「・・・・」
俺は金魚すくいのある方へ足を進めていった。
「あぁ~!また逃げられちゃいました~!」
「落ち着いて、隅の方に誘導すれば簡単にすくえるよ」
「わたし10匹め~!」
「・・・・」
なにやら盛り上がってる様子だった。
「よっ。盛り上がってんな。
結構取れてんの?」
女子三人の間から声をかける。
すると勢いよく三人とも振り向いた。
「・・・なーんだ、空くんですか~」
「何してんの、こんなところで・・・?」
「あ、びっくりしました・・・」
うん、俺もびっくりした。
「何って三人の様子を見に」
「えぇ~、来なくていいのに~」
「はぁ?」
「うそうそ。ね、見てよこれ!」
ずいっと小さなボールを目の前に出される。
「へー、結構取ってんじゃん」
「まぁね!」
「・・・・」
柚希とあんなことがあって、ちょっと気まずかったけど柚希はいつも通り普通だった。
だったら俺だけなんか意識してバカみてぇじゃないか?
どうせあの時のは綾音さんの時みたいにただの冗談だったんだろう。
ま、柚希が普通に接してくれるのが一番助かる。
俺みたいにギクシャクしてたら周りに怪しまれてたかもしれねぇし・・・。
そう思い、俺は柚希と普通に接するようにした。
けど何かもやもやするものが残るな・・・。
こうして盛り上がってる柚希たちとも別れ、最後に残った哉斗の様子を見に行くことにした。



