何分たったかわからないけど、数分の間俺は柚希に抱きしめられていた。


「あ、あの・・・柚希さん?
そろそろ放してくれませんかね・・・?」


「・・・・」


「柚希?」


「ご・・・」


ご?


「ごめん!!」


がばっと勢いよく上から降りて謝りつつわたわたとする。


俺は体を起こして打った頭を撫でる。


「あ、あの、空くん、これはね・・・」


何かを言っているようたが、最後の方はごにょごにょとしていて聞こえなかった。


かと言って、俺も事故であろうがこんなことになったのだ。


心臓がなぜか激しくバクバクとして聞き返せない。


「お、俺帰るな・・・」


「あ・・・うん」


赤くなった顔の柚希は頭を縦にぶんぶん振っていた。


それを見て、そそくさとその場を去る。


「・・・っ、はぁー!
なんだよこれ・・・」


まるで真理奈の時と同じだ。


「心臓痛てー・・・」


ぎゅっと服ごと心臓の位置を片手で握りしめる。


ホント、最近の俺は何かとおかしい。


ひょっとして何かの病気なんじゃないのか?


今度一回病院に行って見てもらった方がいいのかもしれない。


「はぁー・・・」


深くため息をつきながら、庭に止めていた自分の自転車にまたがって家まで帰って行た。