始まってから55分・・・。


会話がない。


時々柚希が「これ何?」って聞いてくることはあるが、それ以外ほぼ沈黙。


集中できるからやりやすいっていうのはいいけど・・・なんか変な緊張感が・・・。


顔を上げてチラッと柚希を見る。


柚希は無言でペンを走らせていた。


たくっ、テスト前の時といい、やっぱこいつの集中力すごいな。


改めて柚希のことを見直した。


まぁ、ここだけだけど。


そんな時、部屋に飾ってあった時計が12時を指して音を鳴らしながら昼になったことを伝えていた。


そこでピタッと柚希の手が止まる。


「・・・あれ、もう12時?
じゃ、昼ごはんにしよっか!」


柚希はペンを置いてテーブルの周りを片付け始めると、ちょっと待っててと言って部屋を出て行った。


出て行った柚希を見て、腕をあげて伸びをする。


「ん~、久しぶりにこんな集中したなー。
にしても・・・柚希の部屋って思ってたよりシンプルなんだな」


白いベットに茶色い本棚。


本棚の中には少女マンガが数冊入ってるぐらいで、あとはぬいぐるみとかが占拠してる。


あとあるのは机にイス、タンスぐらいだ。


カーテンも派手じゃなく、薄いピンクだ。


「女子ってこういうもんなのか?」


想像していたのとちょっと違って、最初入った時は驚いたぐらいだ。


キョロキョロと部屋を見てると、


「お待たせ~!」


とお盆を持った柚希がやって来た。


「昼ごはんそうめんだけどいい?」


テーブルの上にお皿や箸を置いていきながら聞く。


「なんでもいいよ」


そう言って氷の入ったおいしそうなそうめんを見た。


「そっか。
じゃ、食べよう!」


いただきますと言って同時に食べ始める。


すごく冷たくなったそうめんは、すごくおいしかった。


やっぱ夏って言ったらそうめんだよな。


二人でたわいもない話をしながらそうめんを間食した。