「・・・・・」
本当に花に囲まれた家が一軒ぽつんと周りから浮いていた。
すごいな、ホントに一発でわかった。
ピンポーンとインターホンを鳴らすと、柚希が出てきた。
「お邪魔しまーす」
と言って中に入る。
無事に着いて部屋に上がったわいいものの・・・。
「ごめんね空くん、せっかく来てもらっていきなりこれとか・・・。
ホントごめん!」
俺に謝りながらテーブルの上でペンを走らせていく柚希。
はぁ、何で俺こんなとこに来てまで・・・
宿題やってんだろ・・・。
目の前にあるのは宿題で出されていたプリントの束と薄いワーク一冊。
国語・英語・数学が入ったプリントは約30枚近くはある。
自分のをするのならまだしも・・・何で柚希のをしなくちゃいけないんだ・・・。
「柚希、自分のことは自分でしろよ。
俺に宿題押し付けんな」
「そんな、私を見捨てるようなこと言わないでよ~。
これでもちゃんとちょっとづつはしてたんだから・・・」
「ちょっとづつって・・・・」
プリントの中身を見ても1ページと2ページちょっとしかやってない。
これでちょっとづつって、どんだけ遅いんだよ。
こんなペースじゃ夏休みどころか一年はかかるだろう。
「お願い、宿題手伝って!これ終わらせなきゃ私の人生終わりなの!」
「何で?」
「夏休みの宿題終わらせてなかったら、夏休み終わると同時に毎日塾へ通わされるの!
私部活もあるし、そんなのまっぴらごめんよ!」
「じゃあ自分の力でがんばれよ。
何で俺を巻き込んで・・・」
「一人じゃ終わらないのよ!
国語は漢字いっぱいあって何いれたらいいのかわからないし、数学は計算できないし、英語はもう未知の領域!全然意味わからない!
そもそも英語ってyes・no・helloが言えたら十分でしょ!?
何cancerとかmixって。意味わかんない!」
いやいや、cancerはまあ良しとしてもmixぐらいはわかるだろ!?
フルーツ・ミックスとかあるだろ?
あれだよ!
「ホント英語大嫌い!」
ギャーギャーとわめきながらも、柚希は走らせるペンを止めなかった。
てかお前、どんだけ英語嫌いなんだよ・・・。
こうして俺も柚希の運命がかかってる?なんて俺には関係ないけど、渋々宿題を手伝わされることになった。



