「……」


「も~、遅いよ空くん!」


「……」


何で…。


「お疲れ様です。空くん」


「よっ!5日ぶり!」


「えっと…こんにちは」


「元気だった?空くん」


「…お疲れの様ですね、空さん」


何で…。


「まぁ、早く座って!
部活会議を始めるわよ!」


何で…俺だけこんな汗だくなのにみんな汗一つなく、涼しい顔してんだ…?


まさかみんなここから家近いとか?


図書館クーラー効いてるからもう汗も引いたとか?


疑問に思いつつ、イスが空いていた真理奈と柚希の隣に座る。


「あ、あの…空くん…」


「ん?」


俺の服の裾を握って視線を下げる真理奈。


服を握るってことは、何か困ったことがあったのか?


「えっと…その…。ごめんなさい…」


「え?」


ごめんなさい?


一体何に対して謝ったんだ、真理奈は。


別に謝られるようなことはされてない、はず…。

「あの…実は私たち12時半にはもうここに来てたんです。
でも柚希ちゃんが空くんはギリギリに呼ぼうって言って…。
口止めされてて知らせる事ができなかったんです。ごめんなさい…」


…なるほど。


だからみんな来た時涼しそうな顔してた訳か…。


なぁ、隣で楽しそうに笑ってる柚希さんよー。

これってイジメなんじゃないですか?


「ごめんなさい、空くん…」


未だに謝り続ける真理奈に、俺は手を伸ばす。


真理奈は怒られるのかと目をギュッと閉じたが、その裏腹に、俺は真理奈の頭に手を置いた。


そして優しくナデナデと撫でる。


「そ、空く…!?」


「真理奈は優しいな。
ホントに謝らないといけない奴は、俺の隣に座ってるアイツ。
だから真理奈が気に病むことはないんだよ」


「で、でも…」


「ありがとな、ホントのこと教えてくれて。
俺、真理奈のそういう素直な所好きだ」


「っ……!」


笑って言うと、真理奈の顔はみるみる赤くなっていった。


あれ、もしかして暑いのか?


手をそっと放したとたん


「聞いてる!?空くん!」


「あっ、悪い。聞いてなかった!」


柚希の声にびっくりする。


そういや、何か部活会議?とかしてるんだっけ。


真理奈と話してて全然聞いてなかった…。


「も~。空くんのためにもう一回言うよ?
ちゃんと聞いててよね」


「あぁ、今度はちゃんと聞くから」


赤くなった真理奈が少し気になったが、柚希の話に集中した。