「で、調子は大丈夫そう?」


「え?
あ、あぁ。
まぁさっきよりは・・・」


「そう。
よかった」


けど、びっくりしてまだ心臓がバクバクしてる。


「あっ、そうだ柚希。
ごめんな、俺が起きてくるまで待っててくれてたんだってな」


「えっ!?
だ、誰から・・・!?」


「綾音さんから聞いた。
悪い、俺が昼まで寝てたからお前の遊ぶ時間が短くなって・・・」


「そ、そんなこと気にしてたの!?」


「当り前だろう。
合宿を一番楽しみにしてたのは柚希なんだからさ。
一番遊びたがってたの柚希じゃん」


「ひ、人を子供みたいに言わないでくれる!?
そりゃあすっごく遊びたいけど・・・。
でもそこに空くんがいなきゃつまんないでしょ?」


ツンっとした物言いだったが、これが柚希の照れ隠しなのはもう知ってる。


だから、俺は素直にその言葉を受け取ることができた。


「ありがとな。
ま、この合宿も柚希がいなかったらなかったし、お前が部長なんだからお前がいないと俺も楽しくないしな」


「空くん・・・」


ってみんなもたぶん思ってるだろう。


「ありがとう」


にっこりと笑う柚希。


俺も軽く笑った。


「空くん~!
柚希さ~ん!」


「あっ、風花が呼んでる」


「じゃ、行くか」


向こうで手を振る風花とその後ろでスイカを食べながら楽しく話をしてるメンバー。


俺たちは立ち上がってみんなの元へ向かった。


今年はいつもと違う、夏休みの始まり。


こうして俺たちの合宿は無事終わったのだった・・・。