「よし、それじゃあ俺たちも海に行きましょうか!」


「そうね」


ご飯をたべ終えて準備もすました俺と綾音さんは、海に向かうことにした。







「おーい」


「あっ、空くん!」


一番に俺たちに気付いた風花が声を上げる。


「遅かったですね!
あっそうだ。
今からみんなでちょうどスイカわりするとこなんですよ!」


俺たちの元に駆け寄って楽しそうに話す。


「ほら、空くんたちも早く来てください!」


「えっ、ちょっ!?」


「ふふふふ」


風花に腕を引かれて足が一瞬絡まってこけそうになる。


何を急いでいるのやら。


半ば早歩きになる俺たちを、後ろから歩いて来ていた綾音さんは小さくクスクスと笑っていた。


「ここだーー!!」


「あっ!」


ガッ!と音がしてスイカが割れる。


「ナイスタイミングで見れましたね!」


「そ、そうだな」


俺の腕を放して、みんなが周りを囲んでいるスイカへ風花も混ざりに行く。


「はぁー、割れましたねー」


目隠しを取って額の汗を拭いているのは綾音さんの弟、恭真だった。


へー、結構力あるんだな。


割れたスイカに目をやる。


スイカはビニールシートの上で無残にもぶちゅっと汁と中身が皮からはみ出していた。


まぁ、例えるならホラーで人の頭が割れたような感じ・・・。


「うっ・・・」


想像して少し気持ち悪くなった。


「空さん、スイカ食べます?」


「いや、俺は後でいいや・・・。
今ちょっと気持ち悪い・・・」


「そうですか?
じゃあパラソルの下で休んでてください」


「そうする・・・」


口元を片手で抑えながらパラソルのある場所まで移動する。


情けねぇ。


一人想像して一人で気持ち悪くなるとか・・・どんだけだよ。


「はぁー」


ため息をついてシートが敷いてあるところに寝転ぶ。


すると


「大丈夫?」


「ん?
うわっ!」


頭の上から柚希が俺を見下ろしていた。


「び、びっくりさせんなよ」


「ハハハ、何でこんなのでびっくりするのよ?」


起き上がると、柚希は笑いながら俺の隣に座ってきた。