人見知りを治すのを協力する。
とは言ったものの、何をどうすればいいのやら…。
「はぁ」
小さくため息をついて、部室のドアノブを回し押す。
「あ、空くん!」
「こ、こんにちは…」
中に入るとすでに柚希と土井さんが来ていた。
「こんにちは」
あいさつを返して指定席に座る。
どうやら土井さんの指定席は俺の隣になったらしい。
「今日も誰か来るかな~?」
「どうだろうな。
そんな都合よく来たりしないんじゃないか?」
「え~?」
そんなことを話していると、
「こんにちは~」
扉が開いて誰かが入ってきた。
「えっと・・・」
いきなり入ってきた部外者に三人顔を向ける。
「あ、俺結城 哉斗(ユウキ カナト)っす!
この部活の入部希望者で~す」
・・・なんともちゃらい感じの人だ。
「ほら、君も名前言ったら?」
「はぁ・・・」
ちゃらい感じの人の後ろからちょこっと顔を覗かせる。
もう一人いたのか・・・。
「えっと、保月 大地(ホヅキ ダイチ)です。
僕も入部希望できたんですけど」
二人目の人は第一印象が何だかハッキリした感じの人だった。
「え、二人も入ってくれるの!?」
ガタっと席を立って驚く柚希。
まぁ、それもそうか。
一日に二人も希望者が来るとは思わないもんな。
「わ~、大歓迎!
是非入って!」
柚希は扉の前で立ち尽くす二人の元に駆け寄って握手をした。
「じゃ、哉斗くんは真理奈ちゃんの前で、大地くんは空くんの前の席ね」
指をさして指定席を決めていく。
「橘空。
よろしく」
「あ、よろしくお願いします」
軽く頭を下げてイスに座る保月大地くん。
「えっと・・・土井真理奈です・・・」
「へぇ、真理奈ちゃんか~。
可愛い名前だね」
にっこり笑って指定席に着くちゃらい人・・・結城哉斗くん。
何とも背中がかゆくなるようなことを・・・。
「えと・・・」
どう反応すればいいのかわからないのか、土井さんは困った顔をして俺の服の裾を握ってきた。
こういう仕草って可愛いな・・・。
「大丈夫。
笑ってればいいよ」
「う、うん・・・」
耳元でこそっと呟く。
すると土井さんは結城くんにニッコリと微笑み返した。
素直な人だな・・・。
「そういえば私の紹介がまだだったわね。
私はこの部の部長、神田柚希」
そうだった、柚希が部長だった。
忘れてた・・・。
「さて、人数がそろったことだし、そろそろ部活を活動させようかしら」
そう言いながら柚希はイスに座った。
そっか、部長の柚希に俺。
それに土井さんに結城くん、保月くん。
人数は5人で部活をするには十分だ。
「明日から部活動開始よ!」
こうして俺たちの青春部は始まった・・・。