「・・・真理奈」


「・・・!?
は、はい?」


突然呼ばれて驚いたのか、真理奈は足を止めた。


それに気づいて俺も足を止める。


「一つ聞いていいか?」


「はい・・・」


「何で目見ないんだ?」


「え・・・?」


「昨日から俺と目合わせないようにしてるだろ?
なんかあったのか?
それとも俺、真理奈になんかした?」


「ちがっ!
・・・空くんは何も悪くないんです・・・」


「じゃあ何で?」


「・・・・」


俺と真理奈の間にサーと風が透き通って森がザワザワと揺れる。


数分の沈黙が流れた後、真理奈が口を開いた。


「わからなくなったんです・・・」


「何が?」


「自分の気持ちが・・・。
私、こんなの初めてで・・・どうすればいいのか・・・」


・・・えっ、ちょっと待て。


内容がよくわからん。


つまり真理奈は今初めて持つ感情をどうすればいいのか、戸惑ってるってことだよな?


まぁ、その感情が何かは知らないけど・・・。


「空くん、私どうすればいいと思いますか・・・?」


「どうすればって・・・。
反対に真理奈はどうしたい?」


「私は・・・無くしたくはないです。
せっかく気づけたのに・・・。
でもこの気持ちがある限り、ずっと胸が苦しくて辛いんです・・・」


「そっか・・・。
じゃあさ、ずっと持ってたらいいんじゃいかな?
辛くてもそれ、真理奈は無くしたくないんだろ?
だったら自分に素直になって持ち続けてたらいいんじゃないか。
真理奈の初めての気持ちならなおさら」


「・・・そうですね、私の気持ちは私だけのものですもんね。
わかりました、私諦めません!」


「うん、何のことかはわからないけど、がんばれ」


「はい!」


真理奈は顔を上げて俺と目が合うとにっこりと笑った。


そんな真理奈に俺も何だかホッとして笑がこぼれる。