「さて、飯も食ったことだし、今日は何するかなー?」


ご飯を食べ終わってリビングに座る哉斗が伸びをしながら言う。


「今日は私ちょっと用事があるの。
綾音さん借りていくけど、みんなは好きにしてね」


食器を片付けながら柚希が答える。


「用事って、どっか行くのか?」


「うん、まぁちょっとね」


「ふーん」


軽く返事をする。


まぁ、どうせまた変なことでも思いついたんだろう。


「ってことで、私たちもう出かけるから後よろしくね」


柚希と綾音さんはリビングに用意していたカバンを取って、玄関へ向かった。


「じゃあ、「いってきまーす」」


パタンと扉が閉まる音がする。


「・・・柚希さんたち行っちゃいましたね」


風花が元気なく呟く。


リビングに取り残された俺たち。


ホント、どうすればいいんだ・・・。


「あの、僕森見てみたいです」


シーンとする中、大地くんが手を上げる。


「森・・・いいんじゃないか!?」


大地くんの提案で哉斗がテンションを上げる。


「そうだな。
部屋にいるよりいいかもな。
森も涼しそうだし・・・」


「いいですね!
行きましょう、森!」


風花も元気が出てきたようだ。


「真理奈も森でいい?」


「う、うん・・・」


・・・・。


何だろう、昨日から真理奈と目が合わない。


それに話しかけると何だかオロオロした感じになるし・・・。


俺気づかない内に真理奈に何かしたっけ?


「なぁ、まり・・・」


「ほら空さん、いきますよ!」


真理奈に声をかけようとした時、風花に腕を引かれた。


もうすでにみんな行く準備はできてるようだった。


「ハイ、しゅっぱーつ!」


無理やりな形で別荘から出された俺は、森に歩いていくみんなに小さくため息をしてついて行った。


「うわ~、やっぱり涼しいですね~」


「いい感じに日陰ができてるよな」


「風が気持ちいい・・・」


森に入るとすぐ、それぞれ声を出した。


「この先なんかないですかね?」


「どうだろうな、進んでみようぜ!」


「ですね」


大地くんと哉斗、風花はわーわーと楽しみながら森の奥に進んでいく。


その後ろを少し遅れて付いていく俺と真理奈。

真理奈は俺の後ろにいて、何度か後ろを振り返ってみたが、ずっと足元ばかり見て大地くんたちみたいに森を満喫しているという様子はなかった。