お、まさかお客人?
「うわ~空くん、希望者かな!?」
「とりあえず入ってもらえよ」
「う、うん!
どうぞー!」
ギィィと扉を押して入って来たのは…。
「え、えと…あの…」
もじもじと栗色の腰ぐらいまである巻き髪の女の子が入ってきた。
「いらっしゃい!
入部希望者!?」
「は、はい…!
青春部ってここであってますよね…?」
「あってるよ!
ささっ、中へどうぞ!」
おぉ、すごい回復力。
さっきまで萎びたキノコみたいだったのに…。
中に入ってきた女の子は、まさかの俺の隣の席に座ってきた。
…というか、柚希が俺の隣に座らせた。
「じゃあまずは自己紹介からお願いしようかな!」
「は、はい。
えっと…土井真理奈(ツチイ マリナ)と言います。
2年C組です…」
なんというか…対象的に柚希とは性格が正反対って感じの子だ。
柚希は明るく振る舞っている。
でも真理奈って子は恥ずかしいのか、ずっと下を向いて声も小さい。
…緊張してるだけか?
「真理奈ちゃんか~。
私は部長の2年D組、神田柚希。
よろしくね!」
「よ、よろしくお願いします…」
「ほら、空くんも自己紹介」
「あー、えっと、橘空です。
よろしく」
「よろしくお願いします」
お互い自己紹介をし終わった後、沈黙が流れ始めた。
あれ…。
これで終わり?
柚希も消極的な土井さん相手にどう対応していいのか困惑してるし。
…しょうがないな。
「土井さん」
「は、はいっ!?」
びくっと肩を揺らして答える。
「あー、っと。
何で土井さんはこの部に入ろうと思ったの?」
「え、えっとそれは…」
もじもじとしながらゆっくり話し出す。
「わ、私は…見ての通り、かなりの人見知りなんです。
そのせいもあって友達が1人もいなくて…。
落ち込んでる時あの紙を見たんです。
それで、もしかしたらこの部活に入れば人見知りが治るんじゃないかって思って…」
そっか、土井さんは人見知りだったんだ。
だからずっと目を合わせてくれないんだ…。
「治るなんて、私の自己満足なのかもしれないけど…。
でも私、人見知りを何とかして治したいんです!
頑張って友達を作りたいんです!」
「……」
土井さんの目は真剣で、初めて俺と目を合わせてくれた。
「…合格!」
「「え?」」
いきなり声をあげた柚希の方を土井さんとそろって向く。
「合格って…」
「真理奈ちゃんを部員として歓迎するよ!
人見知り、一緒に頑張って治そう!」
「ほ、ホントですか!?
ありがとうございます!」
土井さんはうるうるとさせながら浅く頭を下げた。
「うん、空くんも一緒にがんばろうね!」
…やっぱり俺も一緒か。
「空さん、よろしくお願いします」
「あ、うん…」
土井さんが頭を下げてまで頼むのならがんばるしかない。
「こっちこそ、これからよろしく」
「はい」
にっこり笑う土井さんはなんだかすごく可愛かった。



