青春部はじめました




「「「・・・・」」」


一気に静かな空気が流れる。


そういえば男子だけでいるのって今までなかったよな・・・。


何を話せばいいのかわからない。


そんなことを思っていた時、隣からまたリズムよくボタンを押す音が聞こえてきた。


「・・・・!」


待って大地くん!


俺を置いてゲームに走って行かないで!


大地くんからゲームを奪って数分。


やっと哉斗が口を開いたかと思えば・・・。


「女子の風呂でも覗きに・・・グホッ!」


しょうもないことを言い出したから、俺と大地くんの鉄拳をお見舞いしてやった。


そしてそのまた数分後・・・。


「・・・あの、料理作ってみませんか?」


大地くんがいい提案をしてきてくれた。


思い立つやいなや、俺たちは沈めていた腰を浮かし、台所に移動した。


「うわー、俺料理とか小学生いらいだわー!」


なぜかキッチンに立ったと同時にテンションが上がる哉斗。


さっきまでのシボンだオーラはどこへいった。


「空さんは料理するんですか?」


「ん、俺?
まぁ、人並みには・・・」


「へー、すごいですね」


「空でも料理するのかー。
何か意外」


俺でもってどういうことだよ。


しかも意外って・・・。


「大地くんは?
料理するの?」


「いえ、僕は・・・全くです」


「「え・・・」」


まさかの言いだしっぺが、料理は全くしないということか!?


「じゃあ、何で料理作ろうって言い出したんだ・・・?」


「それはえっと・・・この、このメンバーならできるかなって思ったからです」


「「・・・・?」」


俺も哉斗もよくわからなくて首をかしげる。


「僕、小学校の家庭科の時はいつもダメダメで、みんなの足を引っ張ってばかりでした。
でも、哉斗さんは足だけじゃなくて、手先も器用だし、空さんは優しい人だから親切に教えてくれそうだなって思って、このメンバーとなら作れるかもって思ったんです」


「へー、大地って人を見てなさそうだけど、意外と人を見てんだな」


「はい、まぁ」


「・・・・」


俺も今哉斗と同じことを思った。


哉斗が手先器用だってこと知らなかった。


大地くんはゲームばっかりしてる少年かと思ってたけど、反対に一番よく人のことを見てる子なのかもしれない。


「で、とりあえず何作るよ?」


「そうだな、材料はいっぱいあるし・・・。
大地くん、ご飯ある?」


「はい、結構たくさん炊いてありますけど・・・・」


「うん。
じゃあ、オムライスでも作ろっか」


「「え、オムライス!?」ですか!?」


「大丈夫、大地くんでも作れるから。
さてと、それじゃあ作りますか!」


今日の晩ご飯はオムライスに決定した。


俺が勝手に決めちゃったけど・・・。