「こーんにーちはっ…て、何してるんですか、二人して!?」


扉を開けて部室へ入って来た風花と綾音さんは、驚いた表情をしていた。


まぁ、それもそうだろう。


なんせ今部室にいるのは俺と柚希だけ。


しかも、二人ともそろって机の上で勉強してるんだから…。


何をしても自由な部活だけに、この光景は結構不似合いなものだと思う。


「今柚希に勉強教えてるんだよ」


「勉強…ですか?」


「そっ。
次の期末テスト30点以上取らないと、夏休みずっと赤点補習らしいよ」


「あぁ、それで。
今日先生から聞きました。
あの実力テストてきなやつで30点とってない人が結構いて、次の期末テストで赤点取った奴は夏休みないと思えー!って言ってました」


「うん、だから今必死に勉強してるんだよ」


「でも期末テストはあと二週間後よ?
間に合うかしら?」


「何とかしてでも間に合わせるしかないです。
でも、それは柚希のがんばり次第ですけど…」


「そうね…」


必死に勉強にはげむ柚希の隣で二人と会話する。


柚希は集中し過ぎて、俺たちの会話はまちたく聞こえてないみたいだった。


「ところで、二人は余裕そうだけど…」


「そうね。
私は実力テスト90点以上しかなかったから、夏休みは余裕であると思うわ」


「あたしもです。
30点以上は取ってたので、夏休みは大丈夫だと思います」


「へー、二人とも頭いいんだ」


特に綾音さん。


90点以上しかって、どんだけ頭がいいんだ…。


「・・・・・・」


「二人来たことだし、柚希。
そろそろ休憩しないか?」


「・・・・・・」


「おーい、柚希ー」


「・・・・・・」


「柚希さんやーい」


「・・・・ん?
空くん何か言った?」


三度目でようやく柚希が顔を上げた。


「だから、ちょっと休憩しようって」


「あぁ、うん。
でもこの問題解いてからにする。
空くんは先に休んでていいよ」


「あ、あぁ・・・」


そう言うとまた、柚希はペンを走らせていった。


「かなり集中してるのね」


「みたいですね。
何でこんなに集中力あるのに点数悪いんだ…?」


「やり方が分からなかったとかじゃないですか?」


「んー、そうなのか…?」


「でもこれなら何とか間に合いそうね」


「ですね。
二週間この集中力が続けばいいんですけど…」