真理奈を見送って8分後。
「優勝は、二年のBCチームです!」
『わー!!』
見事三年生にも打ち勝ち、勝利を納めていた。
まさかホントに優勝するなんて…。
柚希と一緒に喜んでいると、満面の笑みで真理奈がこっちに近づいてきた。
「真理奈!」
「はいっ!」
体を起こして座る俺は、気づいたらもう鼻血は止まっていた。
両手を構えて、パチーンといい音を立ててはいタッチを交わす。
「おめでとう、真理奈ちゃん!」
「ありがとうございます!」
「本当に勝ったな。
すごいよ!」
「ふふふ、ありがとうございます」
真理奈は照れくさそうに小さく笑った。
「で、どうだった、チームとは?」
「はい、何だかんだみんなすごく喜んでくれていました!」
「まぁそうだろうな。
最後の真理奈のアタックが入ってなかったら負けてたろうし」
「何だか、今日初めてチームの人たちと打ち解けられた感じです」
「これでクラスの一部は真理奈ちゃんと仲良くなれたと思うよ!」
「だと嬉しいです」
「…人見知りは治った?」
「…いえ、あいにくまだ…」
やっぱ一石二鳥なんて、そんな上手くいくはずないか…。
「でも、これを気に、みんなと段々仲良くなって人見知りも治るかもしれないね」
「はい、がんばります!」
真理奈は見たことない様な屈託ない笑顔を見せた。
その笑顔に不意にドキッとしてしまう。
「空くん?
どうしたんですか?」
真理奈をジッと見つめる俺の様子がおかしかったのか、首をかしげて聞いてきた。
「…いや、何でもない。
ほら、表彰式があるんだろ?
みんな呼んでるぞ」
真理奈の後ろを指さして笑う。
「あ、ホントですね。
じゃあ私ちょっと行って来ます!」
「うん」
「空くん、私もちょっと風花ちゃんたちの所に行きたいんだけど…」
「行ってきなよ。
俺はまだもう少しここにいるから」
「そう…。
じゃあ行ってくるね」
「あぁ」
俺は背中を向けて去っていく二人に手を振った。
…俺、さっきちゃんと自然に笑えてたよな?
こうして球技大会は無事に終了した。
後でみんなに結果を聞くと、哉斗はサッカー1位に。
風花と綾音さんは、バドミントンで運悪くお互い当たってしまって、風花は5位。
綾音さんは2位になったらしい。
そして一番驚いたのは大地くん。
大地くんはバスケで、なんと1位を取ったらしい。
いつもゲームばっかりしていたから、運動はあまり得意なほうじゃないのかと思っていたが、そうじゃないみたいだ。
風花から聞いた話によると、大地くんは本当は運動神経が抜群にいいらしい。
でも普段はめんどくさいから、体育も適当にやっているのだとか…。
みんなもそんな大地くんの一面を知って、かなり面白そうに驚いていた。
本人は困って素っ気ない態度をとっていたけど…。
まぁ、俺たちも結局3位だったし、意外とこの部のメンバーは運動ができるんだなと、改めて知った。
後、トラウマが再びよみがえり、もう球技大会でバレーは二度としないと誓った1日だった。