「…ほほう。
バレー部か~」
「……!」
後ろの方で声がして、振り返りと柚希が肘をつきながらふふふふと、不気味に笑っていた。
「ゆ、柚希。
何考えて…」
「ふふふふ、いいこと思いついちゃった~。
真理奈ちゃん」
「はい?」
「真理奈ちゃんはバレーで決まりよ!」
「「え?」」
柚希さっきの会話聞いてたんだろ?
なのにバレーに入れって、何で…。
「理由は二つ。
一石二鳥よ」
一石二鳥って…。
ていうか、俺の心読まれた!?
「まず一つ。
真理奈ちゃんがバレーに入れば、クラスの一部の人でも仲良くなれる。
そして二つ。
バレーに入ってチームワークを高めると、人見知りが治るかもしれない!」
「……」
自信満々に言ってる様だけど、そんなんでホントに人見知りなんて治るのか…?
「い…」
い?
「いいですね、それ!
確かにクラスの人と仲良くなれるし、人見知りも治るかもしれないし、一石二鳥ですね!」
おぉ、食いついた!
てか、真理奈って興奮するといつものおしとやかさがなくなるんだな…。
「私、バレーにします!」
「うん、そのいきだよ、真理奈ちゃん!
てことで、空くんは真理奈ちゃんの練習相手になってあげてね」
「はっ!?」
いきなり俺にふっかけられても…。
「柚希が相手になってあげればいいだろ…?」
「ん~、私は部長というものがあるからね~。
だから空くんが一番いいよ」
意味わかんねぇー。
「あ、あの空くん、お願いできますか…?」
うっ。
その服の裾を掴むのは反則だ…。
「…わかったよ。
俺でいいならいくらでも相手になります…」
「あ、ありがとうございます…!」
真理奈は嬉しそうに俺の両手をとって喜んだ。
でもすぐはっと気づいて、恥ずかしそうにして手を離したけど…。
まぁ、そこまで喜んでくれるなら、悪い気はしないね…。