「さて、これでみんなには伝えること言えたかな?」


「あ、綾音さん、俺たち渡すものがあるんです」


「え?」


「ほら、柚希」


涙を袖で何回も拭いている柚希を前に出す。


「こ、これ・・・みんなで書いたんです」


柚希がみんなで書いたよせがきを渡す。


「あ、ありがとう!
嬉しいわ!」


笑顔で受け取る綾音さん。


続いて大地くんが花束を渡す。


「キレイ~!
ありがとう!」


これも笑顔で受け取る綾音さんに最後、俺はアルバムを渡した。


「これは?」


「みんなで作ったアルバムです。
今まで一緒に過ごしてきた思い出が詰まってるんで、辛い時とか苦しい時、このアルバムの写真を見て元気出してください。
面白い写真も結構載ってるんで、笑えますよ?」


そう言って綾音さんにアルバムを渡すと、口元を片手で覆った。


「あり・・・がとう。
ありがとう・・っ!
こんなにいっぱい貰ってるのに、私は何もあげられなくてごめんね・・・」


さっきまで笑っていた綾音さんは、ポロポロと泣き出してしまった。


「何言ってるんですか。
綾音さんからは楽しい時間をいっぱい貰いました」


「それに今日は綾音さんを送る日です。
僕たちが贈り物をあげるのは当たり前ですが、綾音さんは貰うのが当たり前なんです」


「綾音さん、卒業おめでとうございます」


女子群はみんな泣いてしゃべれない状態だった。


「ありがとう、ありがとう・・・。
一生の思い出ができたわ・・・」


ポロポロと泣く綾音さんに、女子群はギューと抱きしめた。


どうせ今日ぐらいしかないんだし、ということで、俺たち男子郡も女子群の後ろからギューとした。


最後まで泣かずに笑って送り出すことはできなかったけど、みんな最後は笑っていて、最高にいい卒業式だったと思う。



この流した涙は一生の思い出に残るだろう・・・・。