「大地くん」
「はい」
「君は部員の中でも一番周りと関わらないタイプだったわね。
でも、夏の合宿から徐々に変わろうと努力をしていたこと、私はちゃんと見ていたわ。
だからこれから入る部員には、優しくてゲームが得意で、スポーツ万能な先輩として親しまれるし、モテるかもしれないわね。
でも、空くんというライバルがいるのはお忘れなく」
「・・・僕は空さんのこと尊敬してますけど?
ライバルなんて思ってませんよ?」
「これからライバルになるかもしれないのよ。
くれぐれも空くんには気をつけといた方がいいかもしれないわね」
「?」
俺の名前が出てたけど、なんの話をしているのやら。
綾音さんは楽しそうにクスクスと笑っていたが、大地くんは首をかしげながらハテナマークを出していた。
「次に真理奈ちゃん」
「は、はい」
「真理奈ちゃんは人見知りが激しいって聞いてたんだけど、そうでもなかったみたいね。
私ともすぐに打ち解けられたし、部員のみんなとも楽しそうに笑ってたし。
確かにみんなより物静かな子だけど、周りと関わろうと時々自分から話題を出してるところも良かったわ。
お茶が出てなかったりなくなってたら、そっと出したり次出したり、部員の中では一番気のきく子だったんじゃないかと私は思ってるの」
「あ、ありがとうございます」
「うん、でも恋愛系の方はちょっと奥手なのかな?
もう少しガッツリ行ってもいいと思うな、私は!」
「わわわわわっ!そんな大声で言わないでください!」
「ふふふふ、ごめんね?
これからもみんなと仲良くね!」
真理奈は潤目になって少しぷくーと頬を膨らましてるように見えたけど、やっぱり綾音さんは楽しそうだった。
「さて、最後の最後に空くん?」
「はい」
とうとう俺の番が回ってきた。
「空くんはなんて言うのかな~?
鈍感?ここずっと一緒に過ごしてきたわけんだけど、余りにも鈍すぎてどうしようかって時もあったの」
「な、なんですか、それ・・・」
「ふふふ、でもそんな鈍ちんな空くんだから、この青春部は大した問題もなく楽しくやってこれたのかなって思うの。
意外と一緒にいて一番安心したのは空くんの隣なんだよね。
でも、いつまでも鈍いままじゃダメなんだから!
誰にでも優しいのが空くんの良い所なんだけど、そんなんじゃいろいろ誤解が生まれるんだからね!
私みたいな思いをする子がでないようにするためにも、空くんにはこれからもっと成長してもらいたいと思ってます!」
「せ、成長ってなんですか・・・?」
「まぁまぁ。
これからも、青春部のことよろしくね!」
「鈍いとか、成長しろとか、よく話が読めないんですけど・・・」
綾音さんって、男子にはコメントちょっとキツいな・・・。