「やっほー!」
入ってきたのは柚希と風花だった。
「二人共早いんだね~」
指定席に荷物を降ろす柚希と風花。
「ところで、今日はなんの日か知ってますか?」
風花が聞いてきた。
「「チョコもらえる日」」
俺と哉斗ではもって答える。
「正解です!ではこれをお二人方に差し上げましょう!」
持っていた紙袋から、赤い水玉模様の小さな箱を二つ取り出した。
それを俺と哉斗にひとつずつ渡す。
「柚希ちゃんと二人で作ったんですよ!」
「へー、手作りなんだ!すごいね!」
哉斗はすごく嬉しそうだった。
あんなにカバンいっぱい他の子から貰っといてもなお。
「食べていい!?」
「えっ!?で、でも味は保証しないよ!?
いや、風花と作ったから大丈夫とは思うけど・・・」
食べるといわれ、若干焦る柚希。
それを隣でニコニコと見守る風花。
「どんな味でも嬉しいよ。
せっかく貰えたんだし」
そう言って哉斗は結んであるリボンをほどいてひと粒取り出した。
どうやら作ったのはトリュフみたいだ。
「じゃあ、いただきます!」
口に運んでいく様子を柚希と風花はじっと見ていた。
「むぐむぐ・・・。
うん、美味しいよ!」
食べての感想がこれだった。
「ホント!?良かった~。
これで空くんに文句は言われないね!」
「え?俺が文句でも言うと思ってたのか?」
「うん。だって空くん料理うまいから・・・」
「私は普通に作ったんですけど、柚希ちゃんも一緒となると結構苦労しましたよ」
「ちょっ!?風花!?」
「ふふふ、冗談ですよ」
ニコニコと笑う風花に、柚希はも~!と頬を膨らませていた。
「俺は文句なんて言わないよ。
貰えただけでも嬉しい」
ありがとな。と笑うと、柚希は少し頬を赤く染め、風花は柚希を見ながら何やらにやにや笑っていた。
まさか今年貰えるとは思っていなかった。
俺のバレンタインは終わったと思ってたのに・・・。
ホワイトデー、ちゃんと返さないといけないな。