『それじゃあ、おじゃましましたー!』
9時近くになって、クリスマスパーティーはお開きとなった。
みんな喜んで帰ってくれたから部屋は汚くても、俺は満足していた。
「さて、親が帰ってくる前に部屋の片付けするか・・・」
頭をかきながら散らかった部屋に戻る。
あれ、そういえば誰か忘れてるような・・・。
「んん~・・・」
「しまった・・・」
すっかり忘れていた。
こたつに入ったまま寝ている存在を。
「真理奈。
おい、真理奈。起きろ」
真理奈の頭上に座って軽く肩を揺する。
真理奈は「んん~」と言いながら、目を開けた。
「おはよ。もうみんな帰ったぞ?」
目を開けた真理奈の顔を覗き込むと、まるで状況がわかってないみたいに、固まる。
「え・・・あ・・・。
今、何時ですか・・・?」
「今?
9時丁度になるけど」
「・・・。
私、帰りますっ!」
やっと状況が把握できた真理奈は、こたつから駆け抜け、急いで帰る支度を始めた。
「一人じゃ危ないし、送ってくよ」
俺もコートとマフラーを巻いて準備する。
「でも・・・」
「夜道は危ないし、雪も積もってるんだ。
明日遭難でもされたら困る」
冗談ぽく言って笑う俺に、真理奈も気が落ち着いたのか、
「じゃあ、お願いします・・・」
と言って笑った。
こうして俺は部屋の片付けも進まないまま、真理奈を家まで送ることにした。



