コンビニに着いて適当に選んだジュースを三本ほどかごの中に入れる。


後菓子もなんか買っとくか。


これも適当にかごの中に放り込んでいく。


するとさっとかごの中にアイスが入れられるのが見えた。


「おい柚希、こんな寒いのにアイスはな・・・い・・・」


入れた本人に目を向ける。


どうせこんなことするのは柚希ぐらいだ。


後から付いて来てたんだろう。


そう思ってた。


けど


「残念、柚希ちゃんじゃなくて私でした~!」


両手を後ろに回してはにかんで笑う目の前の人は、柚希だろうと思ってた当人ではなく、まさかの綾音さんだった。


「柚希ちゃんじゃなくて残念だったかしら?鈍感さんな空くん」


鈍感?


なんのことだ?


「いえ、残念とかよく意味がわからないです。
でも綾音さんでもこんな子供っぽいことするんですね」


「何私でもって!?」


「いえ、綾音さんはもう少し大人っぽい人かと思ってましたから」


「たまにはいいでしょ、こういう私も」


「・・・そうですね」


小さくぷーとほっぺを膨らます仕草がいつもの綾音さんとはかなりかけ離れてて、本当に子供みたいで笑った。


「も~、笑ってないで早く払って帰りましょ!」


「わかりました」


まだ笑ってる俺を綾音さんはレジまで背中を押した。


払い終わってまた寒い外へ出る。


「うわ、また降ってますね」


来る前は止んでいた雪がまた降り出している。


「明日は結構積もりますかね」


「そうね。10cmは積もってるかもね」


落ちてくる雪を手の平で受け止める。


「10cmはちょっとキツイですね」


「そう?私はいっぱい積もってくれると嬉しいわ。
雪、好きだから」


そう言って空を見上げる綾音さんは、さっきの子供っぽさとは違い、やっぱり綺麗な大人の人に見えた。