部室でいきなり『少し付き合ってくれませんか…?』なんて言われて、何かと思ったら…。
「空くん、こっちとこっちどっちがいいですか?」
「えっと…。
じゃあ右」
「カルピスですね」
まさかみんなのためのジュースを買うとは…。
優しいなー。
なのに俺…。
違うことを期待してて少しショック受けてる…。
いや、真理奈に限ってそんなことないだろうと思ってた。
うん、思ってたよ…。
「…どうかしたんですか?
気分でも悪いですか?」
「あ、ごめん!
なんでもない!」
下を向いていると、真理奈は顔を覗いてきた。
慌ててのけぞる。
「そうですか…。
ごめんなさい、いきなりこんなこと頼んでしまって…」
「構わないよ。
俺あのまま帰ってもすることなかったし」
多分7時になるまでゴロゴロしてたと思う。
二つある袋の一つを持って、コンビニから出る。
二つ持つと言ったが、断られてしまった…。
「…空くんには助けて貰ってばかりですね」
ふふふと手を口元に添えて歩きながら隣で小さく笑う。
俺が助けてばかり?
…特に何かしたということが思い浮かばない…。
「ホント、空くんはいつもやさしくて、私の…」
「……」
真理奈は何かをいいかけて口を閉じてしまった。
「真理奈?」
「あ、ごめんなさい…。
…空くんは、私の…尊敬する人です」
「…そっか。
ありがとう」
「いえ…」
それからは他愛のない話をしてジュースは俺が預かって、一度家に戻ることにした。
「……」
尊敬…ね。
そう言われて少し照れくさかったけど、嬉しかった。
なのに何であの時真理奈…。
悲しそうな顔してたんだ…?



