いや、冷ややかとかそういう問題じゃないだろ。
お前この問題もできないとか、中学時代どうしてたんだよ・・・。
「で、どう書くの!?」
若干キレ気味の柚希に、俺はわけわからないと思いつつ単語を教えていった。
「Jean is from Osaka.
fromは出身。isはです。
これくらい覚えとけよ?」
「別にいいよ。だって私日本人だし」
「はぁー」
「てか何でこれ名前がジャンなわけ?
そこはさとしとかケンでも良かったでしょ」
「そんなこと、俺が知るか」
名前がさとしやケンだったとしても、柚希は絶対わかってなかった。
「だいたいさー・・・」
「減らず口ばっかたたいてねぇで宿題しろ」
「むー」
ほっぺを膨らましつつもペンを再び握り、空白を埋めていく。
こいつって英語のことになると機嫌悪くなるんだよなー。
はぁともう一度小さくため息をもらした時、今度は真理奈が質問をしてきた。
「真理奈は数学か」
柚希のプリントから真理奈のノートに眼を移す。
「ここがわからないんです・・・」
「これは・・・」
こやって俺は柚希を見たり真理奈を見たりと大変だった。
ついでにお昼はチャーハンとスープだった。
淡々と宿題を初めて休憩も入れつつ4時間。
「ん~、終わったー!」
背伸びをしてペンを机の上に置く柚希。
「まさか今日一日で宿題が終わるとは思ってもいませんでした」
「うん、私も。
空くん教えるのうまいしね。
スラスラ進んじゃう」
「そうですね」
笑い合う2人は何だか楽しそうだった。
俺はくたくただけど・・・。
「じゃ、そろそろ帰る?
冬だからすぐ暗くなるし」
「そうですね。
暗くなったら危険だからそろそろ帰ります」
二人が立ち上がるのに連れ、俺も腰を浮かした。
「今日はありがとね、二人共。
気をつけて帰って」
「はい。おじゃましました」
「お兄ちゃん、また来てね!」
すみれちゃんにも見送られて手を振る。
「またな」
すでに夕日が出ていて、俺は真理奈を家まで送ってから家に帰った。



