俺の存在に気づいた柚希が顔を上げる。
「あっ、空くん来たんだね。
適当に座って。何か飲み物とってくるから」
そういうと、柚希は席を立ち、下に下りていった。
適当に座ってと言われ、俺は真理奈の前に腰掛けた。
「おはようございます、空くん」
「おはよう」
宿題のノートにペンを走らせていた真理奈は手を止め、にっこりと笑って挨拶してくれた。
「どうですか?冬休みは」
「どうって・・・夏休みとあんま変わらないな。
特にすることがなくていっつもごろごろしてるよ」
「ふふふ、空くんらしいですね」
「俺らしいって・・・」
俺は真理奈にとっていつもごろごろしてるイメージなのか?
「さてさて、二人共そろったことだし、さっそく宿題進めちゃお!」
あったかいお茶を運んで部屋に戻ってきた柚希が宿題を再開させる。
「わからないとこがあったら言ってくれ」
「うん」
「はい」
2人はさっそく宿題にかぶりついた。
今思うけど、二人が質問してこない限り俺は何をすればいいんだ・・・?
夏休みの宿題の時は柚希の宿題を俺もやってたから暇ではなかったけど・・・。
今はすることもないし、家にいるのとそんな状況変わらないんじゃないのか?
「あ、空くん。こここは?」
暇になるな、なんてこと考えていたら、さっそく柚希が質問してきた。
「どれ?
・・・また英語か」
「え、英語で悪かったわね!」
「いや、悪いとは言ってねぇけど・・・」
ホント柚希は英語ダメなんだな。
「何々?
"ジャンは大阪出身です"」
・・・え?
これって中学生レベルだろ?
「お前、まさかこんな初歩的な文章もわかんねぇのか・・・?」
「何よ・・・。そんな冷ややかな目で見なくてもいいじゃない!」



