暫く無言で歩いて、大通りの交差点での信号待ち。
呆然と足下を眺めていると、
「あの、寿々さん」
「………ん?」
「俺で良ければ付き合うよ?」
「へ?…………付き合うって、何に?」
彼の言葉に驚いて、思わず彼の顔を見上げてしまった。
日本語って難しい。
『付き合う』という言葉の意味が沢山あり過ぎて、彼の意図した事が分からない。
鬱々たる想いを晴らす為にどこかでお酒でも飲もうとしたのを察して、酒席に付き合うって事?
それとも、恋人に捨てられた哀れなアラサーOLの慰めに今夜一晩付き合うって事?
でなければ、フラれてフリーになった身軽なOLの恋人として、遊びで付き合うって事?
理由が何であれ、同情されるのは御免だ。
有るのか無いのか分からない程度のプライドだけど、それでもそのプライトが傷つくじゃない。
私は少しムッとした表情で彼を見つめた。
すると、彼から意外な言葉が返って来た。



