「フフッ、そう言ってくれると助かるなぁ」
またしても余裕の笑みを浮かべ、私の腕を掴んで、半捻り状態の身体を元の位置へと引き戻した。
………怖い。
男の人が『お金』を受取らず、見返りに要求するものと言ったら……アレしかないわよね?
ますます背筋が凍り出す。
額に薄らと嫌な汗が滲み始めた。
ベッド脇に座り込み、布団にまみれる私の目の前にしゃがみ込んだ彼。
恐怖のあまり、真面に顔を見る事が出来ない。
ほんの少し前まで、凄く優しい『良い人』だと思っていた私。
彼も『男』なんだと、初めて認識した。
ディルの爽やかな香りが漂う中、私は固唾を呑んで彼の言葉に耳を傾けた。
すると、彼はベッド淵に片手をついて、私に覆い被さるように近づいて来て、耳元で悪魔のような言葉を囁いた。
「代価は身体で払って貰おうか」
「ッ?!」
やっぱり、それが目的なのね。
考えてみれば分かりそうなものだわ。



