ライラックをあなたに…



「我に返ったところ、申し訳ないんだけど…」

「なっ、何?」


恥かし過ぎて顔も上げられない。

蹲った状態で、露わになった足元へ布団を掛けながら小さなため息を零す。

すると、


「そろそろ、宿泊費と飲食諸々の代価を支払って貰おうか」

「え?あっ……」


……そうよね。

彼女でも友達でもないのだから、助けて貰った分も兼ねて、きちんと御礼をしないと。


私は辺りを見回して、自分の鞄を探した。

すると、ベッド脇にポツンと置かれた私の鞄。

その鞄へ手を伸ばした、その時!!


「寿々さん、甘いな」

「へ?」


突然、意味深な言葉が頭上から降って来た。

思わず、変な体勢のまま彼を振り仰ぐと、


「俺は金を貰わない主義でね?」

「……へ?」


ニヤリと口角を上げ、含み笑いをする彼。

何だか怪しい雰囲気にゾクリと背筋が凍る。


「お、お金じゃ……ないなら?」


あぁ、私って根っからの真面目人間だわ。

聞かなくていい事を口走ってる。