ライラックをあなたに…



ケーキを食べ終えた頃合いを見計らって。


「それから、教授」

「はい?」

「これは、私からの気持ちです」

「え?」



困惑の表情を浮かべる教授の手にプレゼントの箱を乗せた。

そして、感謝の気持ちを笑顔で伝える。


数秒、じっと見据えていると、小さく溜息を零した教授は……。


「お気遣い有難うございます。では、遠慮なく戴きますね」

「はい」


教授は優しい瞳で感謝の意を口にした。



私は教授の淹れてくれたハーブティーを飲み干し、再び写真を眺めていると。


「今日はクリスマスイブですね」

「………そうですね」

「このプレゼントのお返しにと言ったら申し訳ないですが、素敵な場所へお連れしますね」

「へ?」

「荷物を持って、私について来て下さい」


教授は腰を上げると、室内の暖房を切り、戸閉をして、帰り支度のようにコートを羽織った。

私もそれに倣うように荷物を纏め、コートを羽織り、教授の後についてゆく。



向かった先は―――――。