ライラックをあなたに…



淡い期待を込めながら、一颯くんへのプレゼント吟味する。


店内を行ったり来たりしながら、彼に似合いそうなマフラーを見つけた。

チャコールグレーのシックなデザインのもの。


これなら、普段着でも学会用のスーツ姿でも似合うと思う。



私はラッピングして貰った包みを大事に抱え、ショップを後にした。


店を出て時間を確認すると、16時30分を過ぎた所。

大学院へ向かうにはちょうどいい時間だ。


私はちょっぴりワクワクしながら、軽い足取りで研究室へと向かった。





―――――コンコン


「失礼します」


静かにドアを開けると、いつもと変わらぬ優しい笑顔の紳士が1人。


「こんにちは」

「いらっしゃい」


教授は窓際に立って空を眺めていた。


「今日はホワイトクリスマスになるかもしれませんね」

「えっ?」

「今にも降り出しそうな雲行きですよ」


コートを脱ぎ、教授の隣りに立って同じように空を眺める。


教授が言うように、今にも降って来そうな感じだ。

どうりで底冷えする程寒かった訳か……。