ライラックをあなたに…



侑弥さんには『可愛い』と言われる事はあるけど、『美人』とか『綺麗』だなんて言われた事は……。

見た目が童顔だから、27歳だけど大学生に良く間違われる。

未だに大学生くらいの若い男の子にナンパされるし。

もう少し、大人っぽくなりたいんだけどね。



私は顔を綻ばせながら、引き出しから退職届を取り出し、長財布の下にそっと隠した。



「独身イケメンがまた1人減りましたね」

「ホントよ……」


先輩は脱力感丸出しで机に突っ伏した。

そんな彼女を目の前にして、にこやかに口を開く。


「先輩、お先に失礼します」

「ん~、お疲れ~」


片手を上げ、手を振る先輩。

私はそんな彼女を残して、デスクを後にした。




同じフロアの奥隅に、仕切られた個室がある。

住宅デザイン課の部長室。


私は深呼吸して、その部屋の扉をノックした。

すると、扉の奥からハスキーがかった部長の声が聞こえた。



私は意を決して室内へと。