ライラックをあなたに…



「今日はカフェでお茶をしながら話をしただけです」

「今日はって事は、次もあるのかい?」

「………はい。そういう流れになりました」

「………そうかい」


ほんの少し切なそうな表情を浮かべる女将さん。

娘のように可愛がってくれてるから、もしかすると、淋しく感じるのかもしれない。


「あっ、でも……。次もカフェでお茶をしながら、1~2時間程度話をするだけなので……」

「でも、それって………デートじゃないかい?」

「…………そうなんですかねぇ」


これって、デートになるのかな?

男女が待ち合わせしてお茶をするんだから、デートと言えばそうなのかもしれない。


「相手の男は、良さそうな人なのかい?」

「………そうですね。優しそうですし、誠実そうです。笑った感じが一颯くんに似てる気がします」

「…………そうかい」


女将さんはますます気落ちしてしまったようだ。

私の口から相手の欠点を聞きたかったのかもしれない。


だけど、今日会った感じでは、欠点になりそうな所は1つも見当たらなかった。

それに、本当に笑顔が子供っぽくて、太陽のようにニカッと笑う一颯くんに似ていた。



一颯くん、今頃、何をしてるのかしら?

彼の事を口にしたら、彼の笑った顏が脳裏に鮮明に浮かび上がった。