ライラックをあなたに…



「南雲は寿々の事を考え、お見合い形式でなく、カフェで1~2時間話をするだけでいいと言ってるんだが……」

「………カフェで……」

「あぁ。お互い両親は抜きにして、軽い気持ちで2人で会ったらどうだ?」

「……………うん、それなら……」

「そうか!よく決心したな」



満面の笑みを浮かべる父親。

母親は複雑な表情だけど、ほんの少し安堵している気がした。



カフェでお見合い……か。

南雲 充さん。

えくぼが似合う笑顔をする人。


私はテーブルの上に置かれた写真をマジマジと見つめていた。





父親の采配で、翌週の日曜日の昼過ぎに会う事となった。





10月上旬。

カフェでお見合いという事もあり、畏まって支度を整えたりする必要も無くて、私的には助かった。


綺麗めなブラウスにカーディガンを羽織り、膝丈のプリーツスカートを穿いて、待ち合わせのカフェに向かった。


約束の時間は14時。

私は5分前に目的地のカフェの前に到着した。


――――カランコロン


「いらっしゃいませ」