仕事はゴールデンウィーク前に退社予定。
新入社員が慣れて来た頃に辞めると決めている。
だって3月いっぱいで辞めたら、それこそブーイングの嵐になりそうだもの。
それじゃなくても、結婚相手が我が社の『高嶺の花』なんだから。
結婚式はゴールデンウィーク初日。
だから約1カ月前の今日、退職届を出す予定。
1日の仕事を終え、デスク周りを片付けていると。
「寿々ちゃん、聞いた?!」
「何がですか?」
同じ住宅デザイン課の先輩(鈴木千秋・29)が声を掛けて来た。
「リノベ課(リノベーションの略)の鷹見さん、結婚するらしいよ?!」
「えっ!?」
千秋先輩が興奮気味に話しているが、私は別の意味で驚いた。
だって、彼女が言うその人は私の婚約者だもの。
一体、どこから漏れたのだろう?
まだ、退職届は出していないのに。
「千秋先輩、その話……どこで?」
「え?あぁ、さっきね、図面を引き渡しにリノベ課に行ったら、『結婚おめでとう』って同僚の人が話してたのよ」
「えっ?」
同僚の人?



