「……さん……?
……イさん……?
……ノイさん……?
こんなところで寝ていると
風邪引いちゃいますよ?」


俺が目をあけると

目の前にユイの顔があった。



「んあぁ……」


いつの間にか

俺は寝ていたようだ。



俺は立ち上がると、

大きく伸びをしながら深呼吸をした。



もう太陽は昇っていて、

何人かの子供たちが走り回っていた。



ユイは嬉しそうに、

笑顔で子供たちを見つめていた。



「子供たちは元気だな……」


俺は呟いた。



「いいなぁ……」


ユイが言葉を漏らした。


俺が不思議そうな顔をして、

ユイを見つめていると

ユイは俺に話してくれた。



「私、ずっと一人ぼっちだったんです。
小さい頃から友だちもいなくて……」


ユイが悲しげな瞳をしていた。



「ずっと一日中、習い事ばかりで……
あんなふうに走りあったりしたこともないんです……」



「…………」

俺はユイに何も言ってあげることができなかった。