10月31日
その日はあっという間に来た。

物音がして目が覚めた。
まだ朝の5時で辺りは暗い。
リカルドは荷物を玄関先に移動している。

ガラーンとした部屋。
そこには、どこまでも冷たくて虚しい
空間がただただ広がるばかり。

私は放心状態で、
どこともなく一点を見つめていた。


6時4分
時計の針が指す数字が、
ぼんやりした頭に流れ込んで来た。

もう起きなきゃ。
リカルドは7時には空港に
着いておかなきゃいけない。


「おはよう」

『おはよう』


こんな何気ない挨拶さえも、
虚しく響く。