リカルドが上半身裸で上がって来たとき、
私の中では混乱が起こっていた。

辛うじて持ち堪えていた橋は崩壊して、
涙が溢れ始めた。


「どうしたんだよ、カナエ?」

彼は私を抱いて、
そっと背中をさすってくれた。


『リカルド...
私たち、結婚できないかもしれない』

彼はいっとき、黙っていた。



「ボクが、イタリア人だから?」

彼は私の顔を覗き込んで、
真顔で言った。
何も言えなかった。
彼の目にも、涙が浮かんでいた。


「Cavolo!(ちくしょう)」

彼は拳でテーブルを叩いた。