9月の半ば、

私は夜にリカルドのアパートの前で
彼の帰りを待った。

9時少し過ぎになって、
彼が向こうの通りから
こちらに歩いて来る姿が見えた。


『リカルド...』

「カナエ...?久しぶり!
どうしたんだい?」

素っ気ない態度をとられるんじゃないか
と不安だったけど、
彼は何事もなかったように接してくれた。


『あのね、リカルド。
私、あなたのこと信じたい...』

リカルドは、
優しく私の腰に腕を回して、
アパートの階段を上った。

彼は何だか少し、
疲れている様子だった。