リカルドが痛そうに顔をしかめて、
起き上がった。


「ふんっ」

お父さんは鼻を鳴らして、
そのまま家に帰った。


『ごめんね、リカルド』

「君のお父さん、外国人嫌い...」
彼は俯いて、自転車にまたっがった。
何と言えばいいのか分からない。


『ねえ、リカルド。
私たち、もうこうやって会うの
止めたほうがいいかもしれない...』

彼は黙ったまま、
自転車をゆっくりこぎ出した。
私も自転車をゆっくりこいだ。


『私、あなたのこと信じても
いいのかな...?』

「ボクのこと、疑ってるのか?」

彼の声は震えていた。

『違うとは、言い切れないけど...』

彼はスピードを上げて、
どんどん私から離れて行く。


『リカルド、待って!』



この日、
私たちの間に大きな溝が出来てしまった。

その夜は、遅くまで泣いた。