外は暗くなっていた。
時計の針は9時50分近くを指していた。


「もう、帰る?」
『ん~、そろそろ帰ろうかな?』

彼はスっと立って、
私を家まで送る準備をした。


外に出ると、
ムーンとした空気が体中に張り付く。

私たちは自転車を引きながら、
ゆっくりと歩いた。


「カナエ、いつかイタリアにおいでよ」


『...うん』

でも、それはきっとずっと先のこと。
あるいは、実現できないかもしれない。

また、あの言いようのない不安が
垂れこめる。
イタリアでは、
日本人のこと敵視してないのかな?