自分の部屋で、何時間か前に卒業式が終わったばかりだというのに、もう卒業アルバムを見てしみじみと懐かしんでいたら、玄関の呼び鈴が鳴った。
「はい~、どなたですか?」
下でお母さんの声がして、
ドアを開ける音がした。
「こんにちは!カナエさんに会いに
来ました」
聞き慣れた男性の声がして、
私はハッとしたと同時にニヤけた。
「華那恵~、お客さん!」
『はぁ~い』
私はゆっくり椅子から立ち上った。
階上に立つと、階下で待っているリカルドが見えた。
パリッとしたワイシャツを着た彼は、
立っているだけで十分過ぎるほどカッコよかった。