私は黙り込んだ。
利用されてるだなんて…
彼がスパイだとでも言うのだろうか?

けれど、そうでないとも言い切れない。
心のどこかで、彼への疑いと不安を
抱くようになった。


彼と一緒にいる時は、
必死にそれを隠そうとした。
彼に対して疑いを抱いていることに、
罪悪感を覚えさえした。


毎晩、横になると彼はみんなが
言っているように、
何か企んでいるのかもしれないという
疑いが頭をもたげた。

私は必死に疑いを振り払って、
彼を信じようとした。
信じなければ何も始まらないし、
そうすることでしかこの心は救われない
ような気がしたから。

何を信じればいいのか分からない。