4月13日、入学式の日。
新しい扉を開く日、
未来への一歩を踏み出す日。
私は胸を弾ませて春風に乗って流れてくる
小鳥のさえずりに耳を傾けながら、
自転車をこぐ。
市立図書館の通りに差しかかり、
宣教師が立っているのが見えて来た。
辻説法かな?
この頃、
日本に魅せられてスペインやイタリア、
それからポルトガルからやって来る
宣教師が増えていた。
だから、町中で宣教師を見かけるのは
珍しいことではなかった。
私があいさつをすると、
彼は礼儀正しくお辞儀して返した。
私はそのまま通り過ぎた。
その時だった。
後ろの方から石が飛んで来て、
男たちの罵声が聞こえた。