食事が終わって片付け終わる頃、
お父さんが帰って来た。

時計は9時を差していた。
嫌な雰囲気が漂い始めた。


「遅いじゃない。
子供の卒業の日ぐらい、
少しは早く帰って来てもいいじゃない!」


階下から2人が言い合う声が聞こえた。
はぁ~、始まった。
お父さん、きっとまた寄り道でもして来たんだ。


「少し、散歩しに行こうか?」

リカルドがそっと声を掛けて来た。
絶対に気を遣ってる。


『うん』


私はピリピリするお母さんに
恐る恐る近付いて行って、
声をかけた。


『少し、リカルドと散歩して来る』

「遅くならないようにしなさい」