テーブルの上には、
もうご馳走が並んでいた。

リカルドがイスを引いて、
私に座るよう促した。

「どうぞ、お座り下さいませ」

『それでは、遠慮なく』

私は照れ笑いをして座った。

彼は雰囲気が出るようにと、
カセットテープをセットして
クラシック音楽をかけた。


ヴィバルディの『春』、
シュトラウスの『美しく青きドナウ』
リストの『愛の夢』…


彼がお母さんのグラスにワインを注ぎ、
私のグラスにもワインを注ごうとした。

その時、お母さんが待ったをかけた。


「リカルド、
華那恵はまだお酒は飲めないの」

「え?」

彼はきょとんとした顔をした。

『日本では、20歳からしか飲酒
ダメなんだよ』

それで、私はオレンジジュース。
3人で乾杯をした。