「あなた、学生さん?」

神田さんの問いかけで、我に返った。

退学届は、親の署名欄が空欄のまま
まだ手元のリュックの中に入っている。
私は、はいかいいえかしばし迷った。
中退手続きを出してない今の時点では
多分、まだ「はい」かな?


『はい』

「お家は?」

『近くです』

神田さんは、また黙り込んで
どうしたものかと考えている様子。
家出少女だと思われてるかも。


『雑用でも何でもします!』

私はすがるような思いで、必死に言った。


「今すぐに私がここで決められることではありません。まず、神父と話してみてから決めます。
ここから出て行くところを誰かに見られては危険ですから、とりあえず今日は
ここで一晩過ごしてもらいます」

『はい』


その夜、神田さんが教会内を一通り案内
してくれて、2階にある休憩室で一晩を
過ごした。