学校を出る頃には2時をまわっていた。
私は自転車に跨ると、心向くままにこぎ始めた。
気付けば、家を通り越していた。


たどり着いたのは人気の少ない奥まった
場所にあるこぢんまりした建物。

一見、公民館か何かの民間施設に見える
けど、ここはカトリック教会だ。
目立たないように、十字架は立っていない。
一目で教会と悟られないように、周りの景色に溶け込もうと努めてるんだ。

事務室では紺色のカーディガンを着た中年の女性が1人、机に向かって何か書き物をしている。

私が外から窓をコンコンと軽く叩くと、その女性はこちらを振り向き、玄関に行くように指し示した。

私が正面玄関に行くと、彼女はドアを開けて私を中に入れすぐにドアを閉めた。

『あの......』

何か言わなきゃと焦ったけど、
言葉が見つからない。
自分でもなぜここに来たのか分からない。


「どうぞ、ここにお座りになって」

私が言葉に詰まっていると、彼女は壁際に並べられた3脚のイスのうち1脚を私のほうに少しずらしてすすめてくれた。
私は言われるがままに座った。