おかしいくらいにテンションの高い彼方
が鬱陶しくて、ちょっと睨むと、彼方は
少し苦笑いした。
それから、俺の肩に抱きついて、ニコニ
コとした笑顔を向ける。
「まーまーまー!そんな睨むなって!だ
ってお前の恋ばなだぞ!?ここで騒がず
にどこで騒ぐんだよ!」
「……別に珍しくもないだろ」
もう高校生だ。好きな女の一人くらい、
居るのが普通だろ。
―――とは言っても、そんな普通にさえ
、嫌悪感を感じていたのは自分だがな。
「お前、本気で恋なんか、したこと無か
ったくせに!」
「……ウザイ、彼方」
彼方は、いつも遠慮なく俺の知られたく
ない所とか、恥ずかしい所を突いてくる
からウザイ。
真っ直ぐすぎて嫌だ。


